不動産業界は何歳まで働けるのか?30代や40代でも働けるかを知りたい。この記事では、これから不動産業界に働きたい方向けに、どうすれば長く働けるか、業界の将来性などを解説します。以下のような方は是非ご参考ください。
こんな⼈におすすめの記事
・不動産業界へは何歳くらいまで転職できるか知りたい
・何歳くらいまでは未経験で大丈夫か知りたい
・何歳くらいまで働けるか気になる
不動産業界は何歳まで転職できる?
不動産の求人は「年齢・経験不問」と言われているものが多いのですが、実際はどうなのでしょうか。
まず、不動産業界は未経験の方を含め、何歳くらいまで働き始められるかを解説します。
30代の不動産転職
30代の方は未経験でも、比較的書類選考を通りやすい傾向があると考えられます。
年齢が若いほうが現場の組織体系に馴染みやすく、気兼ねがないコミュニケーションが出来るでしょう。
これまで不動産の仕事が未経験でも、営業や接客などの職種の実務経験や実績があると、採用されやすくなります。
また、不動産未経験の場合は企業研究と業界研究をしっかり行うことと、関連した資格取得を進めることで、より採用の門戸が広くなります。
40代の不動産転職
不動産業界は人手不足ということもあり、40代でも他の業界での経験が活かせれば、チャンスはあります。不動産の業務は業種の幅が広く、営業でも建築系やリフォーム、賃貸の仲介などは比較的年齢が高くても応募しやすいでしょう。
これまでの仕事の経験をしっかりアピールできるかも、40歳代の不動産転職の成否を左右します。
ここを間違えて応募先企業に合わない打ち出しをすると、不動産業界の経験がある方でも、採用の確率が下がってしまいます。
50代以降の不動産転職
業界経験者の50代の方は、これまでの経験を活かした企業選びが必要です。
これまで実績を出してきた成果やマネジメントの能力が重要視されるでしょう。
また、50歳前後の方が比較的目指しやすい職種として、賃貸物件や分譲マンションの管理業務が挙げられます。
マンション管理士という、今後価値が有望視されている国家資格があり、専門的な技能を持って転職することも考えられます。
令和5年度の試験結果では、合格者の平均年齢は47.9歳、そして50代以降の受験割合が半数を超えています。
また、不動産業界では70代まで働いている方が多くおられます。経験や技能が積み上がってくることで、キャリアが広がってくるため、その点でも幅が広がる仕事といえるでしょう。
データ参考:令和5年度マンション管理士試験の結果について
不動産業界の将来は?リストラの心配はない?
業界全体が不振となって、雇用が減ってしまうことはないのでしょうか。安定して働き続けられるかどうかの参考に、不動産業界の現状と将来の方向について解説します。
不動産業界の現状
コロナ禍やウッドショック(建材の高騰)の影響により、賃貸物件の借り手減少や新築物件の買い控えが起きました。現在は、すでに回復して業績は上昇に転じ、現在はバブル的な高騰もしくはバブル気味の地域も多い状態です。
一般財団法人 不動産適正取引推進機構の発表によると、宅建業者数は令和4年度末で約13万社で、ここ数年は増加しています。従業者数も平成23年度末の514,484人から右肩上がりを続けており、令和4年度末では607,517人となっています。
大きな数字で見ると、人材や会社数が縮小しているといったことはなく、拡大傾向にあります。
参考:(一般財団法人 不動産適正取引推進機構)https://www.retio.or.jp/toukei/pdf/stat_g.pdf
不動産業界の将来【プラス要素】
賃貸物件オーナーの世代交代や、サラリーマン大家さんの増加で、不動産投資への新たな需要が生じています。
また、並行して高齢や貧困、外国人など住宅確保困難者への対応も増加し続けることが予想され、投資や賃貸のマーケットは転換点を迎えています。
インバウンド需要の増加に伴う民泊や、宿泊と賃貸の中間のような需要も起きているほか、中古物件の活用が進み、リフォームやリノベーション物件の需要が市民権を得つつあるのも要注目です。
これらの変化にともなって、不動産業界内で専門分野の細分化が進んでいます。
今後は各分野を横断するナビゲーションができる人材が求められてくるでしょう。
不動産業界の将来【マイナス要素】
また、マイナスの要素としては国内の人口減少にともなって、新しい住居を求めるニーズは減少していくことが予想されています。
中古市場ではすでに、放置された空き家の問題や新築の供給過剰となっています。
長らくアナログ要素の強かった不動産業界も、DX(デジタルトランスフォーメーション)化によって業務の効率化が進み、今後仕事量の減少は考えられます。
ただし、プラスに捉えるとビジネスチャンスが生まれます。
中古住宅の流通や空き家を活用したビジネスは増えており、実際にベンチャー企業などが新領域で活動している現状も見られます。
市場規模や従事者が多い不動産業界では、業態転換も含めたポテンシャルが多くあります。
不動産業界で長く働くために心がけておきたいこと
不動産で長く働くためにはキャリアデザインの立て方が大切です。長く働くためのヒントを解説します。
お客さまに対して必要な基本スタンス
不動産業界はお客さまと接することの多い仕事です。
特に基本的なスタンスとして大切なことは以下の3つが挙げられます。
- お客さまの立場になって、ニーズをきちんと吸い上げる
- 市場や法令、税金、ライフプランなどをサポートする
- 購入決断の背中を押してあげる
これらの点を意識して、知識や経験を積む必要があります。
ニーズを吸い上げたり、購入決断の背中を押すためには現場経験を積み、また市場や法令については日々の勉強が欠かせません。
職種別に必要なことは?
また、以下が構築できれば、長く働ける武器になります。
ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、意識してキャリアを積めば、特別難しいことはありません。
営業
- お客さまから信頼され、紹介を得られるレベルになる
- 業界内での人脈のつながりをつくる
- 賃貸も売買も、物件の仕入れができること
営業職の要点は比較的オーソドックスですが、これには不動産業界の体質がかかわっています。
高額商品である不動産のお客さまは、価格と同様に取引相手への信頼に重きを置きます。
お客さまに寄り添い親身に働くことで、「あの会社のあの営業さんは安心して相談できる」という紹介が得られると、大きな売り上げにつながります。
不動産業界は一見競争社会のようで、他社や社内のスタッフ・関連業者さまと濃く関わる仕事です。
お客さまだけではなく、業界内の誰かが困っているときに手を差し伸べたことが、のちに返ってきますので、信頼を積み重ねていくことが大切です。
事務
- さまざまなタイプのお客さまをサポートできる知識
- DXに関する情報と、導入の提案ができる横断的な業務知識
- 内勤としての情報収集力
事務系のお仕事で、今後最も必要とされることはDXへの対応でしょう。
これまで物件内覧は実際の現地に営業担当者が同行するのがほとんどでしたが、現在でもVR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術を利用したオンライン内覧が増えています。
Webサイトでリアルに内覧を体験出来ることが、従来の業務にもインパクトを与えています。
また、成約した物件の契約も、お客さまに来店いただいて行うやり方が減少し、オンラインで重要事項説明や契約を行い、電子署名で調印までが完結する方法が主流となります。
郵送や印紙にかかる経費の削減、スケジュール合わせがしやすいなど、会社にとってもさまざまな利点があります。
不動産業界はアナログな環境がまだまだ多いため、ITの分野やツールの導入ができることは、非常に価値が高いと言えます。
体力は必要?
体力が必要なイメージのある営業も、実はノルマや勤務形態などの労働条件が希望とずれていなければ、不要な体力は使いません。
若いフットワークの軽さは歓迎されますが、経験を積むことで、体力を消費せずに仕事を回せる部分も出てくるのは、ほかの業種と同様です。
不動産業界で長く働く方法
長く働くために必要な心構えに続き、具体的な方法を挙げます。不動産業は業務の幅も広いため、さまざまな方法があります。
不動産業界の仕事を理解する
不動産営業一つとっても、会社により営業スタイルは異なります。
売買や賃貸かといった区別はもちろん、売買の中でも、仲介営業、買取再販、住宅販売営業など、様々なタイプがあります。
会社によって異なる独自のルールや待遇を確認した上で、自身にあった不動産の仕事は何か考えてみましょう。
本メディアでも不動産業界のビジネスモデルや仕事内容について解説しています。
ぜひこちらもご参考ください。
>>不動産業界の仕事内容とは?特徴や種類をわかりやすく解説
管理職になる
営業などの現場が好きな方もいる反面、体力的に無理を重ね続けるのは、長く働く上では限界が出てきます。
管理職になることで、部下をマネジメントするスキルが身につき、より幅広い仕事ができるでしょう。
会社によっては身に付けた経験をもとに、大きな規模の仕事に携わっていける道が拓かれたり、経営陣として経営に携わっていくこともあるでしょう。
資格を取る
宅建士、ファイナンシャルプランナー、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、マンション管理士ほか、不動産関連の資格は多数あり、取得することで転職や長期雇用に有利になります。
資格手当の支給もあるので、家計の安定にも役立つでしょう。
資格取得は業務への知識と仕事への前向きな姿勢、努力できることの証明になり、経験や実績を補う効果もあります。
中でも宅建士には独占業務と設置義務があります。
独占業務は、不動産取引の重要事項説明と、契約書・重要事項説明書への記名・押印のことで、宅建士の有資格者以外の人が行えません。
また、設置義務は宅建業を営む企業の従業員の5人に1人は成年で専任の宅建士でなければならない決まりです。
そのため、個人としてもキャリアの希少性が高まります。
オーナー業を兼業する
会社員として不動産業に従事し続ける場合に、賃貸物件を購入して運用する手段も考えられます。
家賃収入が、高齢になっても程よいワークライフバランスで仕事を続ける支えとなってくれるでしょう。
また、自分で物件を経営することが、本業の業務にとってもっとも有効な知識と経験値をくれます。自身で買い、売り、借り、貸すの4つを経験することが、不動産を理解するもっとも効率の良い方法です。
勤務先の規則は確認した上で問題なければ、不動産投資にチャレンジするのもキャリアを積む一つの手段です。
まとめ
これから不動産業界に働きたい方向けに、不動産業界にはいくつまで転職できるか、どうすれば長く働けるか、業界の将来性などを解説しました。
不動産業はときに仕事のハードな側面もありますが、浮き沈みが比較的少なく、経済が大きく変動している時代でもニーズがなくなることがない分野です。
また、変化や自分の加齢に応じて、スタイルを変えていくことで勝てる業界でもあります。志望するときからキャリアプランを決めるのが、長く働くためにもっとも大切なポイントでしょう。
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