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不動産業界のビジネスモデルとは?構造と仕組みを解説

2023年11月30日

不動産業界に興味はあるが会社によって仕事内容は変わるのかを知りたい、そんな人は多いのではないでしょうか。一口に不動産会社と言ってもそれぞれ展開している事業内容は異なり、会社によって、ビジネスモデルもさまざまです。今回は、不動産業界のビジネスモデルをテーマに構造や仕組み、現状や今後について解説します。

こんな人におすすめの記事

・不動産会社ごとのビジネスモデルを知りたい
・自分に合った不動産会社を知りたい
・もっと不動産業界を知った上で転職先を見つけたい

不動産業界のビジネスモデルや仕組みを知ることが大切な理由

不動産業界とは、不動産に関わる事業を展開している業界です。不動産業界の仕事といえば営業を思い浮かべる方も多いですが、実にさまざまな事業があります。不動産の世界は実に幅広く、購入や売却だけでなく、開発や管理など多岐に渡ります。事業によって仕事の内容も異なるため、自分に合った会社選びをするには、不動産業界のビジネスモデルや仕組みを知ることがとても大切です。

ビジネスモデルを知ることは、会社選びの新たな軸となったり、自身が挑戦したい分野や求められるスキルを考える上でも非常に役に立ちます。

業界全体の今後の動きも抑えておく

また、ビジネスモデルや仕組みだけではなく、業界の今後の動きやトレンドを抑えておくことも、キャリアを考える上で大切です。

例えば、これまでの日本は高度経済成長期で人口が増え続けてきたため、住宅は年々増え続けてきました。しかし現在はすでに少子化が進み人口が減少局面に入っています。その中で、不動産業界の今後を考えることは、自身が今後どういうスキルを身につけていけばいいか?といった観点にも繋がります。

金利上昇・空き家問題・中古住宅など様々な問題に触れておくことで、将来の仕事に活かせる知識も手に入れることができます。

そこで次章から、詳しいビジネスモデルや仕組みについて、後半では不動産業界の今後の動向についても具体的に解説していきます。

不動産業界のビジネスモデル4分野を解説

まずは、不動産業界のビジネスモデルを大きく4つに分けて説明します。

・不動産開発(デベロッパー)
・不動産流通(売買仲介・賃貸仲介)
・不動産管理
・不動産賃貸経営(不動産投資)

順番に事業内容を解説します。

不動産開発(デベロッパー)

不動産開発(デベロッパー)とは、買取った土地に建物を建てて、その建物を販売することで収益を得るビジネスモデルです。

開発する建物には、以下のようなものがあります。

・分譲マンション
・戸建住宅
・収益マンションやアパート
・シェアハウス

などさまざまあります。

分譲戸建などの比較的、小規模な開発であれば、中小企業も参入していますが、分譲マンションをはじめ、大規模な開発は、資金力がある大手企業がほとんどです。

不動産開発は、スケールが大きく、多額の資金が動く事業であるため、不動産業界の中でも「花形」と言われます。

不動産流通(売買仲介)

不動産売買仲介とは、不動産を買いたい人と売りたい人をつなぐ(仲介する)ことで仲介手数料を得るビジネスモデルです。

仲介手数料は、宅建業法で定められており、「物件取引価格(税抜)×3%+6万円」に消費税を加算した金額が、売主と買主それぞれから受けとれる手数料の上限となります。

扱う物件は、多岐に渡り、マンションやアパート、戸建、土地などの居住用はもちろん、田畑や山林などの宅地以外の物件まで不動産であれば何でも扱うことができます。

また、不動産売買仲介は、物件の査定書作りからお客さまの案内、契約書の作成など、不動産取引に関わるすべての業務を行うため、高い専門性が身に付くビジネスモデルです。

例:三井不動産・三菱地所など

不動産流通(賃貸仲介)

不動産賃貸仲介とは、不動産を貸したい人と借りたい人をつなく(仲介する)ことで、仲介手数料を得るビジネスモデルです。

売買仲介と同じく、仲介手数料は宅建業法で定められており、「家賃の1ヶ月分」に消費税を加算した金額が、一回の賃貸借取引で受けとれる手数料の上限となります。

例えば、貸主から「家賃の1カ月」に消費税を加算した金額を手数料として受け取った場合、借主からは受け取ることができず、反対のケースもまた同様です。

よって、賃貸借取引の場合、貸主と借主でそれぞれ「家賃の0.5ヶ月分」に消費税を加算した金額を折半する場合がほとんどです。

このように、不動産賃貸仲介は、売買仲介と比較して1取引における手数料が少なく、収益性が低いビジネスモデルであるため、賃貸管理業務と合わせて事業展開する会社が多くあります。

例:三井不動産リアルティグループ・東急リバブル・住友不動産販売など

不動産管理

不動産管理とは、マンションやアパートなど、賃貸物件のオーナーに代わって物件の管理をすることで管理手数料を得るビジネスモデルです。

管理手数料は、管理会社によって異なりますが、1ヶ月分の賃料の5%前後に設定しているケースが多いです。わかりやすく言えば、管理している物件の賃料が1ヶ月10万円であれば、手数料である5,000円が収入になるという形です。

具体的な管理業務は、物件の修繕や清掃、見回り、入居者からのクレーム処理、家賃回収などがあります。物件の管理戸数が増えるほど月々の収益(管理手数料)が増えるため、ストックビジネスとも呼ばれているビジネスモデルです。ストックが増えると、経営的にも安定するため、管理戸数を増やすことが鍵となります。

一方、入居率が悪いと管理手数料が減り、オーナーからのクレームにも繋がるので、高い入居率を維持するために、多くの会社が、先述した賃貸仲介業務を合わせて事業展開しています。

例:野村不動産パートナーズ・東京建物アメニティサポート・大和ライフネクストなど

不動産賃貸経営(不動産投資)

不動産賃貸経営は、マンションやアパート、駐車場など、所有する不動産を貸し出すことで家賃収入を得るビネスモデルで、よく不動産投資と呼ばれます。一般個人から超大手企業まで展開しています。

例えば、1棟のアパートを経営していると考えます。そのアパートが10部屋で1部屋の家賃が7万円の場合、満室であれば月の収入は70万円になります。その中からアパートを経営するための経費(リフォーム費や維持管理費)などを差し引いた額が利益となります。

管理と同様、月々の収入が見込みやすいため、経営的にも予測が立てやすいことが特徴です。

また、不動産は担保評価が高いため、銀行融資を受けやすい特徴があります。入居率が安定していれば、ローンの返済を家賃収入から賄うことができるため、自己資金を使うことなく、資産形成できる点もメリットです。

個人の場合、アパートや区分マンション、戸建など小規模な物件への投資が多く、大企業の場合、高層ビルや高層マンションなど、大規模な物件への投資が多くなります。

不動産業界の現状と今後の動向トピックスを解説

次に、不動産業界の現状と今後の動向を現在注目されているトピックスに基づいて解説します。

それぞれのトピックスによって、先述した4つのビジネスモデルは、どのような影響を受けるのか、またどのように変化していくのか、一緒に考えてみましょう。

コロナ需要による地価の上昇は、少し落ち着き気味

2020年から始まった新型コロナウイルスによる「巣ごもり需要」によって、都市部を中心に住宅地の地価は、大きく上昇しました。

住宅ローンが超低金利であることも後押しし、一時は、バブル期を超える勢いを見せた地価の上昇も、今は少し落ち着き気味になっています。地価が高騰したことによる購入者層の買い控えが、主な原因ですが、1都3県を中心にそもそも購入できる層が限定的になる程まで地価が上がり過ぎてしまったことが大きなポイントです。

コロナ需要によって地価の上昇が顕著であったのは、戸建住宅が立ち並ぶ住宅地が多いですが、今後は、一旦、落ち着いてコロナ前の相場に少しずつ戻っていくことが予想されます。

住宅のスマート化に向けたICTの活用と環境への取り組み

住宅のスマート化に向けて、ICT(情報通信技術)と住居(建物)を融合させたスマートハウスにも注目が集まっています。スマートハウスは、建物内の照明やキッチン、エアコンなど、電気やガスを使う設備を制御することで、最適なエネルギー消費ができる住居として、これから大きく普及する可能性が高いです。

また、世界の中で、環境への取り組みに積極的である日本では、住宅における省エネニーズが高く、環境に配慮した住宅づくりも今後進んでいくと考えられます。SDGsの考え方が、すべての業界で課題となっている今、環境への取り組みに対応できる会社が、今後の不動産業界においても需要が集まり、成長を続けていくことができるでしょう。

旧耐震基準マンションの今後の動向に注目

1981年より前に建てられた旧耐震基準マンションの動向にも注目です。

大地震の際には、甚大な被害が予想されている旧耐震マンションですが、国土交通省の調査によると、2022年末で現在、約694万戸あるマンションのうち、旧耐震マンションは、約103万戸を占めます。

出典:国土交通省 分譲マンションストック数の推移

費用を考えると建て替えることもできない旧耐震マンションは、今後どうなるのでしょうか?

仮に、住み替えに対する助成金など、行政から何かしらの援助があれば、住み替えによる一定の不動産需要が見込まれます。また、極めて危険な旧耐震マンションについては、事業者に向けた建て替え補助金などが検討される可能性もあるでしょう。

民間の力だけで解決に向かう可能性は、極めて低い問題であるため、政府をはじめ行政の働きかけに注目が集まります。

万博に向けた大阪の再開発をはじめ各地の再開発にも注目

大阪万博に向けた再開発など、各地の再開発も不動産市場に大きく影響します。

円安が常態化しそうな今、インバウンド需要を目指した再開発は、特に注目です。今後、リニアの開通が実現し、格安航空など、「空の便」がより安く、便利に利用できれば、国内外問わず、交通の利便性はさらに高まります。

地方の過疎化が懸念される現在ですが、交通網が発達して物流インフラの改善が進めば、IT技術の利用も合わせると都市部と地方で事業をする不便さや不利な点は少なくなるでしょう。

地方で魅力的な事業ができ、働き口が増えれば、都市部に移住する人は減り、逆に生活コストの違いから都市部から移住してくる人が増える可能性も高いです。

各地の再開発や魅力的な事業の発展があると、「ヒト・モノ・カネ」の動きは、必然的に変わってきます。

「ヒト・モノ・カネ」の動く先に、不動産需要は存在するので、都市部だけでなく、その他の地域についても注目することが大切です。

不動産業界のビジネスに関連する業界とのつながりは?

最後に、不動産業界との関連性が強い業界とのつながりについて解説します。

不動産業界は、関連する業界の市況によっても、市場の動向が大きく変わる業界です。また、関連する業界とのつながりによって新しいビジネスや商品が生み出される可能性もあります。

不動産業界の動向について考えたい場合は、これから紹介する業界の動向にも注目することで広い視点で不動産業界を見ることが可能です。

金融(銀行、保険、証券など)

不動産業界と関連性がある業界は、たくさんありますが、金融業界は、その中で最もつながりの深い業界の1つです。特に、銀行の住宅ローンや投資用ローンなど、個人や法人が不動産を購入するために利用する銀行融資については、その動向によって不動産価格に大きな影響を与えます。

銀行側としても不動産が昔から有力な貸し出し先であっただけでなく、法人向けの事業用融資がどんどん枯渇している今、貴重な融資先として、今後も不動産向け融資は、継続される可能性が高いです。

また、最近では、1万円などの小口で投資ができる「不動産クラウドファンディング」などの新しい金融商品にも注目が集まっています。従来から続いている住宅ローン(居住用不動産への融資)と合わせて、今後は、個人資産の運用を目的とした金融商品の発掘など、さまざまな領域で、金融業界とのつながりはより深いものとなりそうです。

介護・福祉

高齢化が進んでいる日本において、不動産業界は、介護・福祉業界との関連性も次第に強くなっています。高齢者が住みやすい社会を実現するためには、不動産・住宅領域での高齢化問題の解決やバリアフリー化が必要不可欠です。

例えば、自宅のバリアフリー化の促進や住み替え後の空き家問題の解決、高齢者の住まい保証、サービス付き高齢者住宅の普及など、不動産と介護・福祉の領域で問題解決に向けてできることはたくさんあります。

実際、不動産会社の中で介護施設を運営する会社も増えており、不動産業と介護・福祉業を組み合わせることでサービスの付加価値を上げている会社も増えてきました。今後も、新しいビジネスチャンスを見つけて、介護・福祉業界に参入する不動産会社は、増えていき、同時に業界同士のつながりはさらに強くなっていくでしょう。

住宅資材メーカー

住宅資材メーカーは、不動産業界と「二人三脚」の業界であり、切っても切ることができない業界です。ウッドショックの影響で高騰していた住宅資材ですが、一時期よりは、落ち着いてきたものの、未だ、ウッドショック前までの相場に戻っていないのが現状です。

実際、東京23区を中心に新築のタワーマンション価格は、まだ上がり続けており、今後の動向に注目が集まっています。また、マンションだけでなく戸建住宅の建物価格もほとんど下がっておらず、土地価格と合わせてインフレ状態となっているため、購入者層の替え控えが今後の懸念となりそうです。

まとめ

今回は、不動産業界のビジネスモデルについて、業界の構造や仕組み、注目トピックスの観点から見た不動産業界の動向について解説しました。

景気の影響が大きい業界ではありますが、不動産業界はまだまだ発展する余地があり、今後の成長性も期待できる業界です。不動産業界に興味のある方は、LIFULLの不動産転職支援サービスにご相談ください。

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監修

不動産のOTOMO

不動産ブロガー。30歳未経験で不動産業界に転職し、営業や企画に携わり、宅建も取得。不動産業界の魅力を伝えるため「不動産のOTOMO」ブログ運営を開始し、累計40万PVに到達。JOBRIDGEの理念に共感し、不動産業界の魅力を伝えるコンテンツを配信中。 資格:宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

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