不動産管理の仕事に就きたいのだけど、志望動機の書き方が分からない。そんな方に向けて、未経験・同業界の転職の両方について、不動産管理の志望動機のポイントを文例を交えて解説します。不動産管理業の最新情報や、志望動機の書き方のNG例もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
こんな⼈におすすめの記事
・不動産業界は経験や実績がない
・不動産管理業の仕事内容がよく分からない
・不動産業界経験があるが、自分と管理業との関連付けができない
不動産管理とは
まず、不動産管理の仕事とはどのようなもので、どんな特徴を持っているのでしょうか?簡単にいえば、賃貸物件の管理全般に関わる仕事です。2月や3月の繁忙期以外は定時で帰宅しやすいイメージがある反面、その業務内容は幅広く、やりがいのあるものです。
賃貸物件を管理するうえでの仕事内容や、どんな方に向くかも含めてご説明します。
不動産管理の仕事とは
不動産管理とは、アパートやマンションなど賃貸物件のオーナーさまの代わりに、お客さまの募集や暮らしのサポート、賃料管理、建物の管理や運営を行う仕事です。土地や建物の管理のことはプロパティマネジメントともいいます。
不動産や建物管理の知識全般を身に付けているわけではない物件オーナーさまと、不動産管理会社が管理委託契約を結んで管理業務を受託し、賃貸借の運用にあたります。
つまりオーナーさまから物件を預かり、あらゆる出来事に対処する仕事と言い換えられます。不動産管理業務でキャリアを積むことで、オーナーさまの不動産投資のサポートをおこなうアセットマネジメントの領域まで、仕事が発展することもあります。
不動産管理の仕事内容
不動産管理の仕事の具体的な内容は以下です。
- 募集業務(広告宣伝・物件案内・契約業務など)
- 入居者管理(家賃や諸費用の業務・クレーム対応・更新や退去時の精算)
- 建物管理(点検・メンテナンス・修繕計画)
- オーナー対応(賃貸条件や修繕のサポート・トラブル報告など)
上記の仕事では、物件オーナーさまの他にお部屋を探す方、入居者の方、不動産仲介会社の方、建物の清掃や修繕をおこなう業者の方などさまざまな関係者と関わります。
不動産管理の仕事は、営業の専門スキルの習得は基本的に不要ですが、さまざまな立場の人と接し、信頼を得ながら賃貸借業務のサポートを進めるということが求められます。
つまり業界未経験でも、知識や経験を身に付けて役立てたり、忍耐力・協調性・コミュニケーション力を発揮した経験を持つ方は、それをアピールポイントにすることができるでしょう。
また、不動産業のことを幅広く知り、仕事に活かしたい人にも向いているといえます。たとえば売買の営業経験者の方にとっても、管理業務は大きな売り上げを作ってインセンティブ収入を得るような面はないかわりに、以下のようなメリットが得られるでしょう。
- 物件管理の知識が増えてお客様の信頼を得やすくなり、安定した仕事ができる
- 居住用だけでなく、投資物件の扱いへのステップアップができる
- オーナーさまとのお付き合いから、新たな物件仕入れの人脈を作れる
- 勤務時間が安定していて、ワークライフバランスがとりやすい
ワークライフバランスとしては、前述のように2月からの転勤、転職、進入学の多い繁忙期以外に、残業が増えることは珍しいです。
反面物件内での給湯器やエアコンなど設備の故障や、住人の方同士のトラブルなどは予期しないタイミングで起こるため、想定外の業務が急に発生することがあります。
不動産管理は右肩上がりのジャンル
2021年に施行された「賃貸住宅管理業法」を始まりとして、不動産管理の業務はより重要視され、より多くの人材が求められる予定です。
不動産管理の職種を志望するうえでの基礎知識として、賃貸物件の管理はどう変わっていくか、現状と今後をご説明します。
変わってゆく賃貸業務
現在国土交通省の方針で、賃貸住宅の管理を正しくおこなうため、不動産管理会社とその従業者を対象とした資格制度の整備が進んでいます。
賃貸住宅管理業法では、200戸以上を管理する会社を「賃貸住宅管理業者」と定義して、以下のような業務の整備をスタートしています。
- 一定要件を満たす場合の業者登録
- 賃貸人(オーナーさま)への重要事項説明の義務付け
- 有資格者や実務経験者の配置の義務付け
- 財産の分別管理(物件の収益の預かり分を分別)
- オーナーさまへの定期報告
有資格者とは賃貸不動産経営管理士を指しますが、今後は賃貸部門の宅建士のような位置づけで、賃貸不動産経営管理士の専任の業務と一定数の配置が求められるようになるとされます。
賃貸業務の管理者として働き、賃貸不動産経営管理士の資格を取得し、賃貸業務のエキスパートとなるキャリアデザインが、今後は重視されるでしょう。
注意点ですが、このような動きは現在移行期間として緩やかに取り入れられており、今後整備が進んでいくものです。だいたい10年先に向けたビジョンと考えると良いです。
不動産管理の需要が増加中
総務省の平成30年住宅・土地統計調査によると、日本国内の賃貸物件(借家)の総数は1906万5千世帯にのぼり、コロナ禍で一時的に空室が増えたものの、現在では需要が持ち直しています。
加えて、以下の理由から賃貸業の市場への投資が活性化しています。
- 地主さまの高齢化が進んだことによる中古物件の流通の増加
- 老後資金の確保などを目的に大家さん業に新規参入する「サラリーマン大家」の急増
市場の活性化はとても歓迎すべきことなのですが、まだ知識も経験も少ないオーナーさまが増えたことにより、不動産管理の重要性・需要も大きく高まっており、態勢の整備が急がれます。
上記のような今後の不動産管理業界の流れを念頭に、志望動機を組み立てることをおすすめします。
不動産管理の志望動機の書き方のポイント8選
志望動機の書き方として、業種・職種を問わず外せないポイントは、以下の4つといえます。
- なぜその職種か
- なぜ御社を志望するか
- 自分の貢献できることやしたいこと
- 将来どうなりたいか
これらのポイントを不動産管理業の例にあてはめ、業界経験者・未経験者のそれぞれに合わせた場合の文例をご紹介します。
なぜ不動産管理なのか
なぜ不動産管理の仕事を志したのかという点は業界研究の深さや、志望動機の強さのものさしとして確認される部分です。
他のジャンル=仲介(営業)・開発(分譲)・賃貸(オーナー)と管理業務との違い、管理業務のやりがいなどを調べた上で、なぜ管理業を志望するのかを分かりやすく表現しましょう。
経験者の例
前職はマンション管理会社の管理業務主任者を4年間勤めました。これまでの管理組合さまへの対応の経験や、建物管理の知識を活かして、よりお客さま個々やオーナーさまと近い立場でお役に立ちたいと考え、不動産管理を志望しました。 |
未経験者の例
不動産業界について調べていて、営業職よりもむしろ管理のほうがさまざまなタイプの方と接して、お役にたてることに魅力を感じました。学生時代のサークル幹事の経験を通して培った忍耐力・協調性・コミュニケーション力を、微力ながら業務に活かしたいと思います。 |
なぜ御社を志望するか
エリア内の競合各社のWebサイトや会社案内を比較し、志望動機につながる点を見つけ、あなたのことに関連づけて文章化します。
企業研究を行い、「良かった点」と「なぜその点に自分が惹かれるか・自分が合っているか」を明らかにしましょう。
経験者の例
御社の管理物件の広告は、物件それぞれの良さや特徴をはっきり打ち出されており、思わず顧客の立場で「内覧したい」と思いました。その背景にはオーナーさまや建物への細やかなサポートが感じられ、ぜひ御社でお客さまに貢献したいと考えるきっかけとなりました。 |
未経験者の例
同エリアの不動産会社の中で、御社のWebサイトがもっとも地域密着度が高く、エリアの情報量が豊かに感じられました。自分もお客さまに暮らしの細やかな情報を提供できるようになりたいと思い、志望しました。 |
自分の貢献できることやしたいこと
不動産管理業務の範囲で、自分が貢献できそうなことや、貢献したいと思うことを書きます。
業界経験者は具体的な数字などの実績を提示し、未経験者は自分のセールスポイントや持ち味を、文中にどう活かせるかがポイントとなります。
経験者の例
賃貸物件の客付けには3年ほど従事し、その間は繁忙期以外でもファミリー物件を中心に、月に最低7件は成約してまいりましたので、今後はさらに実績を積んでいけるよう研鑽し、新しい知識や情報にも敏感であるつもりです。 |
未経験者の例
学生時代2年半ほど、コールセンターに勤務しました。当初は説明がお客さまにご納得いただけず、怒られてばかりでしたが、電話での接し方やアプリの動作の勉強を進めるうちに、平均解決時間を35分から12分に短縮できました。今後はこの勉強の姿勢と対人スキルを、賃貸のお客さまに活かしたいです。 |
将来どうなりたいか
どのような仕事でも、目標設定をはっきりさせることで、向上心と計画性を表現できます。
身に付けたいスキルや、それを活かしてどう仕事を拡げたいかなどを書きます。「まずは~したい」など1年間くらいの短期目標を併記するのも良いでしょう。
経験者の例
管理業務は7年にわたって経験を積んでおりますので、今後はアセットマネジメントの面で、投資家の方をサポートする方向性でもお役にたちたく、この2年ほど区分所有物件を所有して運用するなどの勉強を積んでまいりました。 |
未経験者の例
業界研究の結果、今後は賃貸管理業が盛んになると感じて、昨年末から賃貸不動産経営管理士の受験勉強を始めています。御社に採用頂けたら、5問免除も受けて来年頭の合格を目指し、実務に活かせるようにしたいと考えています。 |
不動産管理の志望動機のNG例
採用側の企業の方は、志望する方のキャリアや不動産管理業務への本気度だけでなく、働くことへのはっきりした意志を知りたいと考えます。
この項では、つい書いてしまいがちながら、書類選考の担当者の方が不安に感じてしまう志望動機のNG例をご紹介します。
あいまいな志望動機
以下はあいまいな志望動機の例です。
- 知名度や企業イメージの良さを志望動機にする
- 企業研究が不十分で、会社の守備範囲とずれたビジョンにひかれたり、やりたいことに挙げる
- ビジョンや企業理念に共感した=どこに共感したかを書かない
「大手なので倒産や業績不振の心配が少ない」という表現は、企業への賞賛として言葉にしがちですが、「何かあればすぐよそに移る人」と捉えられるかもしれません。その場合、採用したいと考える企業は少ないでしょう。
企業についての知識不足や認識の間違い自体は、不採用の理由とはならないかもしれません。しかし企業研究が不十分な志望動機文は、当たり障りのない内容に終始しがちで「なぜ当社なのか?」という印象を持たれることが多いです。
また、不動産管理は知識に基づいて相手の方をサポートする局面の多い仕事です。ピントが少しずれているという評価は不利になりがちです。
どこに共感したかを文字で簡潔に表現しないことも、書類選考では望ましくありませんので、分かりやすく書くのがおすすめです。
待遇が志望動機
待遇や福利厚生の良さなどは、応募先選びの大切な要素であることはいうまでもありません。しかしそれを志望動機に挙げることでは「何をしたいか」という応募者の情報が伝わらないうえ、仕事で楽をしたいのかとも思われがちで、得策ではありません。
「オンとオフを分けられ、働きやすい環境だと感じた」「定時で帰れてプライベートが充実させられる」「ワークライフバランスが充実している」など、これらは全て正しい志望動機です。
問題なのは、採用側にはそれがよい採用やよい仕事につながるという具体的なイメージにつながらない点です。
待遇面を書くのであればそれをメインにせず、「この制度(育児関連など)を利用して、仕事の能率に活かしたい」など、働き方のビジョンとして具体的に表現するのがよいでしょう。
勉強したいという志望動機
仕事にどう活かすかを抜きに、「〇〇を勉強したい」だけの書き方は、採用担当者の方を不安にするリスクがあります。
書くのであれば、「会社はあなたの踏み台や学校ではない」とならない表現にする必要があります。勉強した内容はあくまで、将来にわたって志望先の企業で活かすという前提で書きましょう。
資格取得の意志も、「資格手当が欲しい人」とならないように資格をどのように仕事に活かしたいかを、今後のビジョンに結び付けて書きましょう。
不動産管理業務に役立つおもな資格は、以下があります。
- 宅地建物取引士(宅建)
- 賃貸経営不動産管理士
- マンション管理士
- 不動産鑑定士
- ファイナンシャルプランナー
まとめ
不動産管理の志望動機のポイントを、未経験・同業界の転職の両方について、文例を交えて解説しました。不動産管理業の最新情報や、志望動機の書き方のNG例も、応募書類の作成の参考にしてください。
また、面接で応募書類をもとに質問を受ける際の質疑応答も、シミュレーションしてみましょう。
不動産管理の仕事は、入居者募集以外の業務が表に知られる機会が少なく、志望動機の書き方に不安を持つこともあるかと思います。その場合は、転職エージェントのご利用がおすすめです。
LIFULLが運営する不動産業界専門の転職支援サービスでは、お仕事のご紹介だけでなく、書類の添削や志望動機作成のアドバイスも行っています。興味のある方は、ぜひ経験豊富なコンサルタントにご相談ください。
あなたにマッチした、不動産業界での働き方を一緒に考えていきましょう。