不動産営業職で活躍するために、資格取得は有効です。実際、どのような資格を取れば活躍につながるのでしょうか?この記事では、不動産営業で活躍するための資格について詳しく解説します。資格取得を検討している方や、営業に活かしたい方はぜひご参考ください。
こんな⼈におすすめの記事
・不動産業界で働くために資格を取得するメリットを知りたい
・不動産業界で働く際に役立つ資格を知りたい
・役立つ資格の合格率や試験の概要を知りたい
不動産業界では活かせる国家資格がたくさんある
不動産業界において国家資格は、業界内での信頼性や専門性を高める重要な要素で、多くの数が存在します。
また、宅建業者の数や従業員数は年々増加しており、不動産適正取引推進機構の「令和4年度末宅建業者と宅地建物取引士の統計について」によると、令和3年度の宅建業者数が128,479社に対し、令和4年度は129,604社と0.9%増加しています。
会社の数が増えるにともなって、有資格者を求める宅建業者は多く、不動産に関する国家資格者の需要も高まりを見せています。
不動産営業で資格を取るメリット
ここからは、不動産営業で資格を取るメリットについて詳しく解説します。
専門知識を身につけることができる
不動産営業で資格を取るメリットとして、専門知識を活かせる点が挙げられます。
特に、代表格である宅地建物取引士の資格は、法規や契約の基本を理解し、不動産の取引に関する高度な専門知識を有することが証明できる資格です。宅地建物取引士の資格を有することでクライアントとの信頼関係が築け、スムーズかつ適切な取引が可能となります。
転職やキャリアアップに有利
不動産営業で資格を取得すると、転職やキャリアアップに大きなメリットがあります。
資格取得は専門知識の証明となり、資格を所有していない人よりも待遇が良くなる可能性が高くなるといえるでしょう。転職時にもアピールポイントとなり、新しい職場で即戦力として迎えられやすくなります。
キャリアアップにおいても資格は不可欠であり、昇進やリーダーシップのポジションへのステップアップが期待できます。業界の変動にも柔軟に対応でき、長期的なキャリアの継続にも期待が持てるでしょう。
年収が上がりやすい(資格手当がつく)
不動産営業で資格を取得すると、企業は資格手当や報奨金を通じて従業員を評価しますので、年収が上がりやすくなります。
例えば宅地建物取引士の場合、月2万円前後といったケースが多いですが、その場合でも1年で24万円の差になります。資格手当や特別なボーナスは、従業員のモチベーション向上や専門性の向上に貢献し、同時に資格保有者の年収を増加させます。
不動産営業にとって資格取得は、個々の専門性を認められ、年収が上昇する一因となるでしょう。
不動産業界で活躍できる資格①宅地建物取引士
ここからは不動産業界で活躍できる資格を紹介します。
まずは、不動産業界の中でも最もメジャーともいえる宅地建物取引士について解説しましょう。
宅地建物取引士とは
宅地建物取引士は、国家資格を有する不動産業務の専門家です。
不動産取引におけるトラブルの予防や解決にも寄与し、公正かつ適切な取引が行われるように努めます。宅建資格を持つことは、不動産業界での信頼性や専門性を示す一方で、法令順守や倫理的な取引を進めていかなければいけません。
試験の概要
宅地建物取引士試験は、不動産取引における専門家を養成するための資格試験です。
試験の内容は、おおむね次のとおりです。
・土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
・土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
・土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
・宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
・宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
・宅地及び建物の価格の評定に関すること。
・宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
試験は年に1回で、約2時間の試験を受験します。
難易度
宅地建物取引士試験は、毎年20万人以上が受験しており、近年の合格者は上位17%程度が合格者となっています。
令和5年度は約29万人が申し込みし、約4万人が合格しました。実際の受験者数は申込者数より少なくなりますが、20万人近くが不合格となる試験です。
50問が出題され、相対評価となるため、対策なしで受かるような簡単な試験ではありません。
宅建の合格のために必要な勉強時間はこちらの記事もご参考ください。
宅建資格取得のメリット
宅地建物取引士資格の取得には多くのメリットがあります。
まず、法的な知識や業務スキルが高まることはもちろん、実務にも直結する知識が身に付きます。独占業務である重要事項説明なども行うことができますので、社内の地位も高まりやすく、年収アップもしやすいといえるでしょう。
不動産業界で活躍できる資格② FP技能士
FP技能士も不動産で活躍できる資格として挙げられます。ここからはFP技能士について解説しましょう。
FP技能士とは
FP技能士(ファイナンシャルプランナー技能士)は、お客様の資産形成・運用、保険、税金などのファイナンシャルプランに関する専門知識を有する資格です。
FP技能士はお客様のニーズを理解し、適切な提案を行うことで、資産の最適な運用や将来の計画立案をサポートします。主に金融分野における幅広いスキルを要求し、法令や税制の知識だけでなく、コミュニケーション能力や倫理観も重要視される資格です。
試験の概要
FP技能士には3級と2級の試験があり、2級試験の合格者は上位の資格と位置付けられます。双方とも主に6つの分野から出題されます。
・年金や社会保険
・保険
・投資、経済
・税金
・不動産
・相続
と比較的広い分野からの出題といえるでしょう。
FP3級はFP技能士の入門編といった内容ですが、それでもお金にまつわる知識が取得できますので、経済などに関する比較や分析ができるスキルが身に着きます。FP2級はより深い知識を問う資格です。
難易度
FP3級技能士の資格は、比較的難易度は低めといえます。
合格率は60〜70%とそこまで難しくはなく、ポイントを押さえておけば合格のハードルは高くありません。FP2級は少し難易度が高くなり30〜50%程度の合格率です。何度か試験を受けて合格する人も多い難易度といえるでしょう。
FP技能士取得のメリット
FP技能士は、家の購入を検討しているお客様に対して、住宅ローン返済などの適切なアドバイスが可能となりますので、不動産営業に役立つ資格といえるでしょう。
資産運用、税務、保険、年金など広範な分野での専門知識を身につけていますので、お客様に総合的なファイナンシャルプランを提供できます。不動産営業において総合的な提案できる人材は多くないため、他の営業マンと比較して大きく差別化できる資格です。
不動産業界で活躍できる資格③ 建築士
次に挙げられる資格が建築士です。
建築士とは
建築士は、建築物の設計や施工において専門的な知識と技術を有する資格です。
試験を受験して資格を取得し、建築設計、構造計画、施工管理などに専門性を発揮します。不動産営業において家の設計や管理なども提案できるとなると、家の購入や売却面で非常に有利となる資格です。
また、国家資格ということでお客様の信頼度も上がり、営業においても非常に便利な資格といえるでしょう。
試験の概要
建築士の試験には1級と2級、木造建築士の試験があります。1級が最も上位の資格です。
双方とも学科と設計製図に分かれており、学科に合格しなければ設計製図の試験が受けられません。試験の範囲も1級2級とも同じですが試験の基準が大きく異なります。
学科試験の範囲は以下の通りです。
・計画
・環境、整備
・法規
・構造
・施工
設計製図は、公表された課題が満たされた設計の試験となります。
難易度
建築士の試験は前述したように学科と設計製図の両方に合格する必要があります。
建築技術教育普及センターHP「試験結果」による令和5年の合格率は下記の通りです。
2級
学科試験の合格率35.0%
製図試験の合格率49.9%
1級
学科試験の合格率16.2%
製図試験の合格率33.2%
どの試験も50%以下の合格率となりますので、比較的難易度が高い資格といえるでしょう。
建築士取得のメリット
建築士は建築物に関する専門的な知識を有し、物件の構造や設計について的確なアドバイスができるため、お客様との信頼関係を築きやすくなります。
建築的な視点から物件の利活用や改修案を提案することで、買主や賃借人のニーズに合致した提案ができ、信頼獲得にもつながります。建築士のスキルは、不動産のマーケティングにも活かすことができます。競争が激化する不動産市場で、サービスの差別化に繋げることができるでしょう。
不動産業界で活躍できる資格④ 管理業務主任者
ここからは、管理業務主任者の資格について解説します。
管理業務主任者とは
管理業務主任者とは、分譲マンションの管理組合に対して、管理会社が管理契約を締結する際、重要事項の説明や管理報告をする際に必要な国家資格です。
マンション管理について専門性の高い知識を有し、適切な管理についてのアドバイスができる資格といえます。管理業績を通じて信頼を築くことで、キャリアの発展やリーダーへのステップアップにつながるでしょう。
試験の概要
マークシートによる4択方式の試験です。50問が出題され、主な試験範囲としては以下が挙げられます。
・法令 系
・建設 設備 系
・管理実務 系
範囲は広くありませんが、それぞれ分野が異なりますので、分野別の対策が必要です。
難易度
管理業務試験に合格するにはおよそ70%程度の正答率が必要で、35点前後が合格点となっているケースが一般的です。
合格率は例年20%から23%程度を推移していますので、決して簡単な試験ではありません。じっくりと時間をかけて勉強しておく必要がある資格です。
管理業務主任者取得のメリット
この資格を持つことで、不動産物件の適切な管理業務をリードできるリーダーシップとスキルを証明できるでしょう。
入居者との円滑なコミュニケーションやトラブル解決能力が向上し、信頼性が高まります。契約管理や法令順守に対する高い専門性は、お客様からの信頼度を向上させる要因となるでしょう。
特に、不動産管理業務において高度な専門性を発揮できますので、キャリアの拡充や地位向上にもつながる資格です。
不動産業界で活躍できる資格⑤ マンション管理士
管理業務主任者とよく似ている資格として挙げられるのがマンション管理士です。
マンション管理士について解説します。
マンション管理士とは
マンション管理士は、区分所有マンションの管理に特化した資格です。所有者と管理組合の円滑なコミュニケーションや建物の効果的な維持管理に関するアドバイスができます。
修繕積立金や管理組合の運営に関する知識を有し、プロジェクトの予算編成や緊急時の対応が求められます。管理組合との信頼関係を築き、生活環境の向上に寄与する役割を果たす資格といえるでしょう。
試験の概要
マンション管理士の試験範囲は大きく以下の通りです。
・マンションの管理に関する法令及び実務に関すること
・管理組合の運営の円滑化に関すること
・マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
それぞれの分野において出題する科目数が異なります。
難易度
マンション管理士試験の合格率は毎年7%から10%程度で、これまで紹介した資格と比較しても難易度が高い資格といえるでしょう。
しかし、宅建士や管理業務主任者と出題範囲が似ている分野も多いです。宅建と同時に資格を取得するケースもありますし、ステップアップとして受験する方も多い試験です。
マンション管理士取得のメリット
管理組合などに対して的確で信頼性の高いアドバイスが可能となり、不動産取引において強力な武器となるでしょう。
マンション管理士資格は、共同住宅における様々な課題やトラブルに対処するスキルも養うことができます。契約の円滑な進行や問題解決がスムーズに行え、プロの営業マンとしての信頼を築くことが可能です。
不動産業界で活躍できる資格⑥ 賃貸不動産経営管理士
次に挙げる資格が賃貸不動産経営管理士です。賃貸不動産経営管理士について解説します。
賃貸不動産経営管理士とは
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理業務に従事する不動産会社に設置が義務付けられている業務管理者の要件となる国家資格です。
賃貸住宅管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家としての位置づけを有します。
賃貸不動産の管理を適切に行うことにより、賃貸不動産所有者の資産の有効活用、不動産に居住し利用する賃借人等の安全・安心を確保することが求められる資格です。
試験の概要
賃貸不動産経営管理士は、50問4択方式での試験となります。
試験範囲は以下の通りです。
イ 管理受託契約に関する事項
ロ 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項
ハ 家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
ニ 賃貸住宅の賃貸借に関する事項
ホ 法に関する事項
へ イからホまでに掲げるもののほか、管理業務その他の賃貸住宅の管理の実務に関する事項
参照:https://chintaikanrishi.jp/exam/summary/
主に賃貸不動産経営の管理業務に特化した分野からの出題となりますので、管理面に関する法律や実務面の勉強が必要になるでしょう。
難易度
令和5年の賃貸経営管理士試験の合格率は27.9%と、同じ不動産資格である宅建士やマンション管理士、管理業務主任者などと比べると合格率は高めです。
同試験は、令和3年4月21日に発表された国土交通省令にて、国家資格となりました。
国家資格以前は難易度もそこまで高くありませんでしたが、国家資格化したことにより難化しています。範囲も幅広いため、しっかりとした事前の対策が必要です。
賃貸不動産経営管理士取得のメリット
賃貸物件の効果的な管理や運営に関する専門知識が身につきます。
賃貸経営のための空室対策や節税対策などを提案できるため、スキルアップや信頼獲得にもつながります。
まとめ
不動産営業に活かせる国家資格について解説しました。
6つの資格を紹介しましたが、どれも非常に実用性のある資格です。不動産営業の範囲は多岐にわたりますので、自分の営業スタイルに合った資格取得を目指すといいでしょう。
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