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日本の不動産業界の将来性は?業界の動向を読み解く

2023年11月20日

日本の不動産業界は将来どうなるのでしょうか?ここ10年間の不動産業界は低金利政策の影響やコロナウイルスなどの影響により変化を遂げてきました。この記事では不動産業界の将来性や今後の課題といった点について詳しく解説します。

客観的なデータを交えながら解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

こんな人におすすめの記事

・不動産業界の将来性を知りたい
・現状や課題を知りたい
・今後求められるスキルが知りたい

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不動産業界の現状

まずは、将来性を計るためにしっかりと現状を把握することが大切です。本章では不動産業界の現状について詳しく解説します。

不動産会社自体の数は増えている

国土交通省が発表した、令和3年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果によると、この8年間で宅地建物取引業者数は連続で増加しています。

出典:国土交通省資料

2019年から2022年はコロナウイルスの影響により、特に外食産業や観光業、旅行業などは大きなダメージを負いました。

不動産業も接客や販売方法など変化を迫られましたが、それでも会社数は増え続けています。東京オリンピック後に懸念されていた不動産の暴落といった状況にもなっておらず、比較的堅調に推移したことから不動産会社の増加につながっているといえるでしょう。

不動産の市場規模自体は一進一退の状況にある

不動産会社の数は増加傾向にありますが、不動産自体の市場規模はここ数年一進一退の状況となっています。

財務総合政策研究所が公表した「年次別法人企業統計調査における不動産業界の売上高」から市場規模を見てみましょう。2017年には43兆4,335億円規模でしたが2018年には46兆5,363億円と増加し、2019年は45兆3,835億円と減少しています。

さらに2020年には44兆3,182億円に減少してしましたが、2021年には48兆5,822億円とここ5年間でも最も多い額となっているのです。コロナウイルスの影響などもあり特殊な要因なども含まれていますが、一進一退の状況といえるでしょう。

出典:年次別法人企業統計調査(令和3年度) ※赤線はJOBRIDGE編集部で加工済

新築住宅の着工件数は2018年がピーク

新築の住宅着工件数も不動産業界の現状についての参考となります。

国土交通省が公表している「住宅経済関連データ 新設着工戸数の推移」によると、新築の住宅着工件数は2018年の953,000戸をピークとして、2019年は884,000戸、2020年は812,000戸、2021年は886,000戸と減少傾向があります。

ただし、2018年、2019年は、コロナウイルスの影響も大きく、住宅に着工したくてもできなかったケースもあります。

さらに注目すべき点は、新築住宅市場自体の大きさです。日本では中古と比較しても新築の市場は非常に大きく、将来的に見ても新築住宅の着工件数は高い位置で安定していくことが想定されています。

データ上では、新築着工数は年々減少し、これからは中古が伸びる、という見方もできますが、そもそもの市場規模が大きいため、その前提も欠かさずフラットに考える必要があります。

人手不足は深刻化している

不動産業界に限ったことではありませんが、少子高齢化による人口減少の影響は避けられないものとなっています。不動産業界においても会社自体は増えていますが、従業員の高齢化は進んでいるといえるでしょう。

今後も人口減少の流れは変わりませんので、人手不足の対応強化が急務です。人手不足を解消するためには業務の手順を見直し、効率化やDX化を進めていく必要があります。特にITを使った業務効率などは、不動産業界にとって未着手となっている点も多く、官民一体とした業務効率化が求められているといえるでしょう。

不動産業界の課題

不動産業界では、今後課題と言われている様々な問題があります。課題といえばネガティブなイメージがあるかもしれませんが、裏を返せば課題を解決するビジネスチャンスにも繋がります。どのような領域にチャンスが生まれるのか、業界の課題を解説していきます。

 空き家数増加による「空き家問題」

不動産業界の人手不足の点でも解説しましたが、少子高齢化による人口減少は空き家の増加にも大きな影響を及ぼしているといえるでしょう。

国土交通省の統計によると、2018年時点で20年間で約1.5倍に増えています。576万戸→849万戸に増加しており、社会問題の1つとされています。

出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性」

二極化の流れも顕著で、都心部の需要は高いものの土地がないので土地の価格がどんどん高くなる一方で、高齢化が進んだ地方では高齢者の増加と共に空き家が増えています。

特に、団塊の世代と呼ばれた、人口が多い1947年から1949年世代の方々の相続が増えており、空き家の増加が急速に増えているのです。

空き家を放置することにより、近隣不動産の市場価値にも悪影響を及ぼす場合があり、不動産の健全な流通を阻害する要因となってしまうかもしれません。

空き家の増加は不動産業界が抱える大きな課題のひとつです。

急務となるIT化

人手不足に対する対策ともなりますが、IT化の急速な推進も不動産業界に与えられた大きな課題です。総務省が公表している平成26年時点の「情報通信白書」によると、不動産業の情報通信技術の活用状況(産業別ICT活用状況)は5.6ポイントとなっています。

金融、保険業の7.6ポイントや製造業の6.7ポイントと比較しても水準としては低く、アナログな風潮が残っているといえるでしょう。不動産業界に関わる行政や金融機関など、紙やFAXでやり取りをする文化も根強く残っています。

近年では、様々な不動産テックやDXのサービスが出てきています。それらをうまく活用しながら、生産性を高めていく工夫が必要となります。

囲い込み問題

囲い込みとは、不動産の所有者から依頼された売却物件を、他の不動産会社に紹介しないことを指します。

不動産の売却依頼を受けた不動産会社は、不動産が売却できるように購入希望者を探します。購入希望者を探す方法として、自社HPやポータルサイトへの登録や、チラシの配布などが挙げられますが、他の不動産会社への紹介も効果的な募集方法です。

しかし、購入希望者を他の不動産会社が探してしまうと、買主側の手数料は紹介した不動産会社が受け取ります。売却を依頼した不動産会社は売主からも買主から手数料を受け取りたいために、他の不動産会社に物件を紹介しないのが囲い込みの特徴です。これを、いわゆる両手取引と言います。

売主さまの利益と相反するケースもあり、今後改善が必要な分野です。不動産エージェント(売主さま専門・買主さま専門)として働く人も増えてきており、透明性を担保していくことも不動産業界の持つ大きな問題といえるでしょう。

今後、不動産業界の将来性に影響がある出来事

将来どのような出来事が不動産業界に影響を及ぼすのでしょうか。今後の不動産業界に影響があると思われる出来事について詳しく解説します。

アフター東京オリンピックと大阪万博

2021年にコロナ禍の中、東京オリンピックが開催され一定の落ち着きを見せてきました。

開催決定直後から不動産相場は上昇を続け、特に都心部は活況な時期が長らく続いていたといえるでしょう。東京オリンピック後は不動産価格が暴落するとの予測もありましたが、今のところ大きな暴落もありません。

このような世界的なイベントとして挙げられるのが2025年の大阪万博です。日本経済新聞の記事によると、経済効果は3兆円に迫るほどともいわれており、2,800万人を超える来場者が期待されています。

東京オリンピックが不動産市場に好影響をもたらしたように、大阪万博も不動産業界に一定の影響を与える出来事としてチェックしておきたいイベントです。

住宅ローン金利上昇リスク

ここ数十年、日本ではゼロ金利、マイナス金利といった言葉が世間で流れるようになり、国内の住宅ローン金利は過去にないほどの低金利で推移してきました。欧米諸国は景気に関する過熱感から金利が上昇局面に入っていますが、日本の金利は低いままで、金利の差が開いてきているのが現状です。

今後は金利が上がる可能性も考えられますが、金利の上昇は、すでに住宅ローンを借りている方にも、新規で借りる方にも金利負担増になるリスクがあります。

金利が上昇することによる不動産価格の推移を注視していく必要があります。

就職者の高齢化、後継者不足高齢化問題

不動産市場だけではなく、今後の日本経済において最も深刻な問題のひとつが少子高齢化です。子どもの数が減少し、人口自体が大幅に減少している上に、労働人口の減少により老齢世帯が突出する逆ピラミッド型の年齢層が形成されています。

先述したように、人口減少は空き家問題につながるだけではなく、住宅マーケット全体の縮小や働き手の不足にも繋がります。

国土交通省が発表している資料によると、業態別における社長の平均年齢は、不動産業が61.7歳で調査対象の業種のうち最高。また、 後継者不在率も、不動産業においては68.9%と、高齢化、後継者不在が喫緊の課題となっているデータがあります。

出典:国土交通省「不動産業ビジョン2030 参考資料集」

コロナ禍によるライフスタイルの変化

2019年から2022年まで猛威を振るった新型コロナウイルスは、人々のライフスタイルを大きく変化させました。特に人との接触が大幅に減少してしまったといえます。

不動産市場においてもライフスタイルの変化に対応しなければいけません。テレワークの普及により、書斎部屋やテレワークスペースの確保が必要になるでしょう。不動産市場もライフスタイルの変化を見据えた対応が求められます。

不動産業界の将来は明るい?未来のためにできること

ここまでは不動産業界の現場や課題について解説しました。最後に、課題に対しての向き合い方を業界の全体だけではなく、個人として取り組めることについても解説していきます。

不動産から派生する産業にも目を向ける

少子高齢化による人口減少や、都心部への一極集中、コロナウイルスなどの要因により不動産業界の将来も大きく価値を変えていく可能性があります。

しかし、人が存在する限り住まいの需要が無くなることはありません。さらに、不動産は流通だけではなく、管理や開発、周辺産業である建築や金融にも派生していく、出発点的な役割も果たしています。既存市場だけではなく、今後も新たな形でのビジネスもどんどん生まれていくことでしょう。

いわゆる不動産テックやDXのサービスもその1つ、様々な視点でビジネスを考えることで、既存の不動産業でも新しいビジネスチャンスを掴める可能性があります。

ニーズの多様化に柔軟に対応していく

ライフスタイルが多様化しているため、お客さまが不動産に対して求めることが多様になっています。

またジェンダーレスや、外国人などのニーズ、高齢者への理解など社会の多様性に対応していく必要がこれまで以上に出てきています。それらを踏まえて、特定の領域に特化してサービスを行う、なども戦略の1つです。

例えば今でも高齢者の方専門の不動産会社や、外国人の対応に特化した不動産会社などもあります。ニッチな分野に特化したスキルを持つことにより、その分野では大きな優位性を持つようになると、会社としても個人としてもオリジナルの強みを築くことができるでしょう。

不動産業界以外の知識やリスキリングにも目をむける

不動産は様々な業界と密接に結びついており、1つの取引が建築・金融・行政など影響は大きく広がっていきます。不動産と関連性が深い分野だと、知識を深めるために勉強してみるのがオススメです。他にもITを用いた営業活動の効率化など、現場に活かせる知識を学んでいくこともおすすめです。

新たなスキルが身に付き、今まで持っていたスキルとの掛け合わせにより、他の営業マンよりも優れた提案ができるかもしれません。すでに不動産業界で働いている場合は、ただ漠然とこなしていた分野の仕事をもう一度学びなおし、いわゆるリスキリングもできるようになると、営業の強い武器となるでしょう。

まとめ

不動産業界の将来性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。さまざまな変革は必要だとしても、人がいる限り不動産需要が無くなるわけではありません。

不動産業界の動向だけでなく、経済全体の動きをとらえながら、自ら学び続けて、コミュニケーション能力を高めていくことが、不確実な時代を生き抜く術となります。

特に不動産業界は、仕事の中で多くの人間性や専門性を磨き上げるチャンスもたくさんあり、展開も広がる、キャリアを築きやすい業界ともいえます。

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監修

不動産のOTOMO

不動産ブロガー・宅地建物取引士。30歳未経験で不動産業界に転職し、営業や企画に携わり、宅建も取得。不動産業界の魅力を伝えるため「不動産のOTOMO」ブログ運営を開始し、累計35万PVに到達。JOBRIDGEの理念に共感し、不動産業界の魅力を伝えるコンテンツを配信中。

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